CG’s EYE
編集部が選んだ2016年教育情報アレコレ
No.016 2016年12月01日
今年は熊本地震、オリンピック・パラリンピックの開催、米大統領の広島訪問など、実に多くの出来事がありました。時事問題を作成する先生も受験生も、頭を悩ませているのではないでしょうか。今回のCG’sEYEは編集部スタッフの対談形式で、神奈川の教育界2016を振り返ってみます。
編集員:今年も公立中高一貫校に注目が集まりました。
編集長:そうだね。真価が問われた相模原中等教育、平塚中等教育2期生の大学入試結果は、相模原中等教育の国公立現役合格61名や平塚中等教育の東大現役2名合格など保護者の期待をさらに高めるすばらしい結果だったと言えるね。公立校トップクラスに肩を並べる学校になった。
編集員:その平塚中等の授業研究会の取材に行かれましたが、どうでしたか?
編集長:研究授業のほか、すべての授業が公開されたのだけれど、先生方の熱意・向上心が伝わってきた。
編集員:県立中等教育といえば「アクティブ・ラーニング」を早くから取り入れ、成果を上げています。
編集長:次期学習指導要領では「何を学ぶか」だけでなく「どう学ぶか」も示される。その学び方が「アクティブ・ラーニング」であるわけだけれど、教育関係者向けにさまざまなセミナーが開催されるなど、まだ研究段階ではあるね。毎年平塚中等や相模原中等の授業を見学して、生徒たちの活発な学習活動に感心するけれど、実は徹底した家庭学習管理や積極的な言語活動、思考トレーニングの実践があってのものだと思う。1年生がKJ法を使ってグループワークをしているのには驚いた。
編集員:大学のゼミやビジネススクールでも使われる課題解決法の一つですね。
編集長:そうやって1年生から鍛えられながら6年間学ぶのが県立中等の魅力と言えるね。そしてもう一つ大きな動きがあった。
編集員:横浜サイエンスフロンティア高校(YSFH)附属中学校がいよいよ来春開校します。それに伴い横浜市立南高校附属中学校の適性検査が3本から2本に変更になりました。先日の志願説明会で公表された2校の選考基準も原則同じでした。違いは2次選考が南高附属中は男女まとめて20名、YSFH附属中は男女別に計8名ということと、適性検査の満点が南高附属中は各200点満点、YSFH附属中が各100点満点ということでした。満点が違うことで何か影響はあるのでしょうか?
編集長:適性検査得点がそのまま使われれば選考に占める適性検査の重みが変わるけれど、2校とも調査書1対適性検査3の割合で計算されるから、実質同じ。適性検査問題もいずれ共通になる可能性がある中での過渡期と言えるかな。
編集員:3期12年間にわたる県立高校改革の1期がスタートしました。2017年度に学科改編が行われる高校のうち、4校の校名が変更になりました。単位制普通科に移行する横浜緑園総合と横浜清陵総合、単位制専門学科に移行する吉田島総合の「総合」が取れ、普通科が新設される小田原総合ビジネスが小田原東になりました。
編集長:県立高校改革は、学校規模を1学年8~10学級に拡大し20~30校を削減することと、「質の高い教育の充実」のため研究校や推進校を指定し取り組むことが柱だ。前回の改革でも同規模の削減が行われたけれど、卒業予定者数の減少は前回ほど多くはないんだよね。学校規模を大きくしてかつ削減しようというのが柱になっている。校舎の老朽化も進行するし、財政面を考慮したと言えるね。
編集員:来年から公立高校入試の記号選択問題がマークシート式になるのもトピックの一つでした。私立に目を移してみます。今年の県内私立中学入試ののべ受験者数は約3万1700名と昨年より1千名多く、のべ合格者は400名弱少ない、実質倍率2.5倍という結果でした。また私立高校の志願者数は、公立高校入試制度が変更になった2013年度から5万名台に増えています。共学化や高校募集の開始なども見られました。
最近の共学化や高校募集再開など
年度 | 学校 | 内容 | 備考 |
---|---|---|---|
2015年度 | 横浜富士見丘学園 | 高校(後期課程) 募集開始 |
編入学試験 |
2016年度 | 法政大学第二中学・高校 | 中高同時共学化 | |
2016年度 | 関東学院六浦高校 | 高校募集再開 | ラグビー部のみ |
2017年度 | 聖ヨゼフ学園高校 | 高校募集開始 | |
2018年度 | 青山学院横浜英和 | 共学化 | 中1より |
2018年度 | 法政大学女子高校 | 共学化し 「法政大学国際高校」へ |
「国際バカロレアコース」 「グローバル探求コース」の設置 |
2020年度 | 横浜高校 | 高校の共学化 | 中学募集は引き続き男子のみで 高校進学後も別クラス |
編集長:受験者を確保するため入試方法を多様化したり、出願も合格発表もインターネットでという私立中学が増えている。ホームページもスマホに対応した、洗練された見やすいものが増えてきたね。もちろん見せ方だけではなく、いかに魅力ある学校にしていくか、その中身が問われている。共学化や高校募集開始は学校にとって大きな改革だし、そういった変化がさらに魅力ある学校づくりにつながっていくと良いね。私学発祥の地、神奈川の私学にこれからも期待したい。
編集員:最後に高大接続についてです。3月に「高大接続システム改革会議最終報告(案)」が公表されました。ただ、センター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮)」はその実施方法など、まだ不透明な部分が多くあります。
編集長:そうだね。大きくとらえると、思考力・判断力を問う記述式の出題をどうするか、英語4技能をどう評価するかが最大の関門と言える。対策・対応という点から見ると、すでに神奈川県公立高校入試は思考力・判断力重視の入試になっているし、私立中学入試、公立中高一貫校適性検査も同様。言い換えれば、今の学習の延長線上に思考力・判断力重視の新大学入試があるので、さほど心配することはないと思う。一方、英語4技能は切実だ。公立高校入試ではスピーキングテストが行われていないから、中学生のモチベーションはそちらに向きにくいのが現状だ。
編集員:そんな中、英検協会が英検スコアを導入したり、3級と準2級が来年度からライティングテストも加わった4技能対応になったりと、大きく変化しています。英検と入試との関係はどうなのでしょう?
編集長:良い視点だね。新しい大学入試でのスピーキングとライティングは、民間の試験結果を活用するという方針が示されている。英検協会と上智大学が開発したTEAPは、大学入試での活用を前提に開発されたスコア型の試験で、すでに複数の大学で導入されている。今回英検がスコア化され、技能別のスコアが算出されるのも入試での活用を視野に入れた変化だと言えるね。大学入試だけでなく、いずれ高校入試でも英語4技能評価は行われていくだろうから、たとえば英検のスピーキングスコアが選抜資料に使われることもあり得ない話ではない。高校入試だけじゃない。私立中学入試でもすでに英語を受験科目として選択できる学校が出てきている。中学受験でも英検スコアが活用される可能性は将来的にあるね。
編集員:現中学2年生から新しい大学入試になる中、中学生・小学生の英語学習はどうすれば良いのでしょう?
編集長:良いフリです(笑)。2018年度から新学習指導要領が先行実施され、小学5年生から英語が必修化される。英語の早期学習の重要性は中萬学院の関連会社EDVECが20年近く前から唱えていたけれど、ようやく公教育でも本格的に取り組むことになるわけだ。EDVECでは、小学生段階から耳を鍛え口を鍛えていくこと、語いを増やしていくことが重要だということで、学習教材の開発に取り組んできた。そしてICTを活用することで日常的にスピーキングトレーニングに取り組める教材がリリースされたわけだね。
県内学習塾初!「MyET」導入
世界で180万人の学習者。4技能時代のスピーキングトレーニングシステム
- Speaking力を瞬時に評価・アドバイス
ネイティブの後に続いて話すと、「発音」だけでなく「ピッチ」「リズム」「強勢」の項目ごとにすぐに評価され、具体的なアドバイスも表示されます。 - 学習状況、成績を記録管理
各レッスンの成績や授業外での学習状況も記録 されるので、継続して取り組むモチベーションアップにつながります。 - ゲーム感覚でレベルアップを目指せる
ゲームのミッションクリアのように、楽しみながら取り組むことができます。
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「MyET」は台湾で開発され、世界9カ国で特許を取得したスピーキングトレーニングシステムです。台湾大學、清華大学、北京大学をはじめアジアの500大学以上で、またサムスン、LGなど韓国・日本の企業200社以上でも導入されています。「TOEFL」対策、旅行、ビジネス英語など小学生から社会人までさまざまなニーズに対応する多彩なコンテンツが用意されています。日本国内では中萬学院グループのEDVEC社が代理店となり、全国大手有力塾も続々採用を決定しています。
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※学習にはインターネット環境が必要です。
編集員:今年からCG中萬学院も導入した「MyET」ですね。優れた音声認識システムを持ったデバイスで、ゲーム感覚でスピーキングトレーニングができるもので、県内ではCG中萬学院が初めて導入しました。
編集長:私学や全国の大手塾でも順次導入が始まっていますね。このようなシステムを取り入れて日々学習を積み重ねること、そしてたとえば英検スコアを学習到達目標にしていくことなどが英語学習のポイントになると思う。最後は宣伝になったけれど、英語4技能を高めることは将来の進学にも、そして実社会でもますますその重要度を高めていくから、私たちも意識して伝えていきたいね。
編集員:そうですね。新学習指導要領案もいずれ公表されます。CG’sEYEでも引き続き戦後最大級の教育改革についてお届けしたいと思います。