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CG’s EYE

2017年度県内中学・高校受験概況

No.020 2017年04月03日

2017年度の公立中高一貫校含む中学受験概況と公立高校受験概況についてみていきましょう。

公立中高一貫校除く中学受検率は15.9%

2017年度、首都圏(1都3県)の小学校卒業生数は昨年より4千名程度減少しました。一方中学受験率は昨年より若干プラスの15.9%と推定されます(啓明館推定)。2月1日は私立中学受験者のほとんどがどこかの学校を受験するので、その受験者数をまとめるとおおよその受験者規模が分かります。今年は神奈川県内私立中学が7,603名、東京都内私立中学が2万9,273名で、昨年と比べ微増しました。

県内受験者はのべ3万5千名

神奈川県内に目を移すと、59の私立中学校で行われた229の入試回、5校の公立中高一貫校を受験したのべ受験者数は3万5千名でした(受験者・合格者未公表除く)。私立中学入試では、前半日程で昨年より10%以上受験者を増やした学校・入試回は、2月1日では関東学院1期Aが38.8%、横浜共立学園A方式が20.5%など、2月2日では法政大学第二1回が13.3%、栄光学園が12.1%など、7校ありました。また後半日程では神奈川大学附属C日程が18.2倍という高倍率を記録しています。ただ、全体を見渡すと昨年より若干ですが広き門となりました。
私立中学入試は算・国・理・社の4科が主流であることに変わりはありませんが、最近は適性検査型入試や英語選択が可能な入試、「アクティブラーニング入試」などを設定する学校も増えてきました。多様化の傾向は今後も続くものと思われます。

【2】2017年度私立中学入試・公立中高一貫校入試概況

■神奈川県内私立中学

区分 受験者数 合格者数 実質倍率 入試回 校数
男子校 8,454 3,037 2.78 35 11
女子校 8,451 4,033 2.10 85 23
共(別)学校 13,963 5,996 2.33 109 24
30,868 13,066 2.36 229 58

※帰国生入試は除く
※3/24現在で受験者数・合格者数ともに判明している学校・入試回のみ集計(入試回・校数は全体)

■神奈川県内公立中高一貫校

相模原中等(男子) 583 80 7.29
相模原中等(女子) 602 80 7.53
平塚中等(男子) 389 80 4.86
平塚中等(女子) 405 80 5.06
南高校附属(男子) 408 75 5.44
南高校附属(女子) 578 85 6.80
YSFH附属(男子) 433 40 10.83
YSFH附属(女子) 226 40 5.65
川崎高校附属(男女) 510 120 4.25 ※2017年度より
男女別合格者数非公表
4134 680 6.08

一方、公立中高一貫校では県立相模原中等、平塚中等が昨年より難化しました。大学合格実績も高人気に影響を与えたようです。今年は横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校附属中学校が初めて募集を開始しました。受検者数こそ659名と川崎高校附属中に次いで少ない受検者数でしたが、横浜市内のみ男女40名ずつの募集とあって、男子は10倍を超える実質倍率となりました。中学受験をするご家庭にとって公立中高一貫校受検を考えるきっかけになったようです。また、これまで高倍率だった南高校附属中学校の受検者数にも影響を与えました。

【3】は毎年啓明館卒塾の保護者に行っている公立中高一貫校に関するアンケート結果の推移です。2009年は神奈川県に初めて公立中高一貫校が開校(県立2校)した年、2012年は横浜市立南高校附属中学校が開校した年です。当初は私立中学受験を考えるご家庭にとって選択肢とはなりにくかった公立中高一貫校も、優れた教育実践、県立2校の進学実績などから併願先として検討されるご家庭も増えました。また、公立中高一貫校を第一志望に中学受験学習を始めたご家庭も増えてきているのが近年の大きな変化と言えるでしょう。

実際に公立中高一貫校を受検した保護者の方の声をいくつかご紹介します。

公立中高一貫校を受検した理由

  • 最初は費用面のみだったが、学校の教育に対する考え方や取り組みを知り、公開授業を見学したりするうち、ぜひ通わせたいと思うようになった
  • 公開授業に参加し生徒の生き生きとした授業態度に感銘した
  • 子どもが理系に興味を持っていたためYSFH附属に魅力を感じた
  • 友人から良い学校だと聞き、子どもが苦手な作文のテストというのも苦手克服になると考えた
  • 本人の個性を生かすことのできる学校がそこだった
  • 第一志望は私立女子校と決めていたが、どの程度実力があるか試してみようと思った
  • 授業料が安いし内容が私立に劣らず大学進学率も良い

公立高校(全日制)入試は今年も1.2倍

それでは高校入試に目を移しましょう。全日制の実質倍率は昨年と同じ1.20倍、定員割れは昨年より5校増えた18校でした。今年も受験生が主体的に高校を選択し果敢にチャレンジする公立高校入試だったと言えます。

【4】神奈川県公立高校入試受験状況(全日制)

年度 募集 受験 受験後
取消
合格 実質倍率 定員割れ
校数
欠員 倍率1.5倍以上
2017 43,593 52,321 292 43,476 1.20 18 180 9
2016 43,750 52,638 310 43,609 1.20 13 245 12
2015 43,300 51,471 314 43,291 1.18 15 105 15
2014 43,760 51,932 391 43,849 1.18 7 35 11
2013 42,560 49,971 341 42,513 1.17 23 180 15

マークシート式の影響はあったのか

昨年度入試で発覚した採点ミス防止のために、選択式問題にマークシート式が導入された初めての入試でした。その影響はどうだったのでしょう。【5】は合格者平均点の推移です(県教委発表)。2013年度から2016年度までの合格者平均と今春の平均を比べると、国語、数学で8点以上、社会で4点弱平均点が上がりました。数学はずいぶん易しくなった?と思われるかもしれませんが、旧制度最終年の合格者平均点が100点満点換算で67.0点でしたから、それでも低い得点です。配点の変更も平均点アップに影響しています。社会も「知識の活用力」を問う出題に変わりはありません。旧制度最終年の合格者平均点(100点満点換算)より10点弱低い点であり、得点分布もこれまでと同様に分散しています。
一方、選択式問題がマークシート式に変更となった今春の公立高校入試で、最も変化のあったのは国語です。平均点は旧制度最終年より高い73.1点、100人に3人近くが満点という結果でした。書き取りと心情記述が選択式になったりしたほか、文章量も1千字程度減りました。加えて記述問題も解き易いものでした。全体的に学校間の採点基準をそろえる必然のあった、複数志願制時代の入試問題を思い起こさせる慎重な問題作成だったように感じます。現在の公立高校入試問題は「思考力・判断力・表現力」を今まで以上に問うものとしてスタートしています。その目的から見ると、今春の国語は受験生の努力が報われにくいものだったかもしれません。
マークシート方式導入元年、平均点こそ上昇した科目がありましたが、来春受験する中学3年生は「思考力・判断力・表現力」重視の入試であることを忘れずに、日々の学習に勤しんでほしいと考えます。

【5】公立高校共通選抜(全日制)合格者平均点推移

  英語 数学 国語 理科 社会
2017年度 51.9 63.5 73.1 46.9 54.5
過去平均 52.3 55.4 64.4 47.2 50.7
(差)※ (-0.4) (8.1) (8.7) (-0.3) (3.8)
2016年度 43.0 51.7 64.7 46.5 52.0
2015年度 51.8 52.6 64.4 37.4 50.2
2014年度 59.6 51.7 60.8 38.6 49.5
2013年度 54.8 65.5 67.8 66.4 51.1

※2017年度と2013年度から2016年度過去平均の差

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