CG’s EYE
2018年度県内中学・高校受験概況
No.032 2018年04月01日
2018年度の公立中高一貫校含む中学受験概況と公立高校受験概況についてみてきましょう。
公立中高一貫校除く首都圏中学受験率は16.4%
今春の小学校卒業者数は、神奈川県で約7万35百名と前年より2千名程度減少しました。首都圏(1都3県)全体では、前年より7千名程度減少の約28万4千名でした。一方中学受験率は昨年より若干プラスの16.4%と推定されます(啓明館推定)。2月1日は私立中学受験者のほとんどがどこかの学校を受験するので、その受験者数をまとめるとおおよその受験者規模が分かります。今年は神奈川県内私立中学が7,537名、東京都内私立中学が2万9,361名で、昨年とほぼ同じ規模と推定されます。
1年ひと昔の私立中学受験。県内のべ受験者は微増の3万1千名
県内58の私立中学校で行われた232の入試回(帰国生入試を除く)には昨年より400名弱多いのべ3万1千名あまりが受験しました。実質倍率は男子校、共(別)学校では昨年を若干上回る倍率となっています。
今年の大きな変化は、青山学院横浜英和の共学化です。男女計160名の募集に対し、男子はのべ237名、女子はのべ609名が受験しました。入試回3回の実質倍率は男子が2.8倍、女子が2.1倍でした。来年は横浜富士見丘学園と桐蔭学園が共学化します。横浜富士見丘学園は昨年まで中等教育学校でしたが中学・高校になり、桐蔭学園はすべて中等教育学校となります。
共学化だけでなく、学校改革・コース改革を行う学校も見られます。横浜女学院では、今年から「国際教養クラス」を新設、従来のクラスを「アカデミークラス」の編成としました。国際教養クラスは国際系大学や海外大学進学を視野に第二外国語も必修化します。コース改革に合わせ、入試も国際教養・アカデミーの二本立てになりました。受験者数は2クラス合わせ880名と昨年の約1.6倍に増えています。
ところで、入試回が1回のみなのは男子で浅野、栄光学園、慶應義塾普通部、女子で湘南白百合学園、フェリス女学院、横浜雙葉、共学で慶應義塾湘南藤沢の7校のみ。他は入試回を2回以上設けています。午前入試・午後入試、即日発表という近年の入試スタイルに加え、インターネット出願を採用する学校も増えてきました。また、入試方法も多様化が進んでいます。算・国・理・社の4科が主流であることに変わりはありませんが、最近は適性検査型入試や英語選択が可能な入試、「アクティブラーニング入試」などを設定する学校も増えてきました。受験者確保という側面のみならず時代の求める学力観を反映した入試多様化の傾向は、今後も続くものと思われます。
【2】2018年度私立中学入試・公立中高一貫校入試概況
神奈川県内私立中学
区分 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | 入試回 | 校数 |
---|---|---|---|---|---|
男子校2018年度 | 8,494 | 3,000 | 2.82 | 36 | 11 |
男子校2017年度 | 8,454 | 3,037 | 2.78 | 35 | 11 |
前年差 | 40 | -37 | 0.04 | 1 | 0 |
女子校2018年度 | 7,541 | 3,841 | 1.96 | 91 | 22 |
女子校2017年度 | 8,451 | 4,033 | 2.10 | 85 | 23 |
前年差 | -910 | -192 | -0.14 | 6 | -1 |
共(別)学校2018年度 | 15,228 | 6,508 | 2.34 | 105 | 25 |
共(別)学校2017年度 | 13,963 | 5,996 | 2.33 | 109 | 24 |
前年差 | 1,265 | 512 | 0.01 | -4 | 1 |
2018年度計 | 31,263 | 13,349 | 2.34 | 232 | 58 |
2017年度計 | 30,868 | 13,066 | 2.36 | 229 | 58 |
前年差 | 395 | 283 | -0.02 | 3 | 0 |
※帰国生入試は除く
※3/20現在で受験者数・合格者数ともに判明している学校・入試回のみ集計(入試回・校数は全体)
神奈川県内公立中高一貫校
受検者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
---|---|---|---|
相模原中等(男子)2018年度 | 588 | 80 | 7.35 |
相模原中等(男子)2017年度 | 583 | 80 | 7.29 |
前年差 | 5 | 0.06 | |
相模原中等(女子)2018年度 | 654 | 80 | 8.18 |
相模原中等(女子)2017年度 | 602 | 80 | 7.53 |
前年差 | 52 | 0.65 | |
平塚中等(男子)2018年度 | 406 | 80 | 5.08 |
平塚中等(男子)2017年度 | 389 | 80 | 4.86 |
前年差 | 17 | 0.22 | |
平塚中等(女子)2018年度 | 410 | 80 | 5.13 |
平塚中等(女子)2017年度 | 405 | 80 | 5.06 |
前年差 | 5 | 0.07 | |
南高校附属(男子)2018年度 | 342 | 70 | 4.89 |
南高校附属(男子)2017年度 | 408 | 75 | 5.44 |
前年差 | -66 | -5 | -0.55 |
南高校附属(女子)2018年度 | 483 | 90 | 5.37 |
南高校附属(女子)2017年度 | 578 | 85 | 6.80 |
前年差 | -95 | 5 | -1.43 |
YSFH附属(男子) | 317 | 40 | 7.93 |
YSFH附属(男子) | 433 | 40 | 10.83 |
前年差 | -116 | -2.90 | |
YSFH附属(女子) | 216 | 40 | 5.40 |
YSFH附属(女子) | 226 | 40 | 5.65 |
前年差 | -10 | -0.25 | |
川崎高校附属(男女)2018年度 | 516 | 120 | 4.30 |
川崎高校附属(男女)2017年度 | 510 | 120 | 4.25 |
前年差 | 6 | 0.05 | |
2018年度計 | 3932 | 680 | 5.78 |
2017年度計 | 4134 | 680 | 6.08 |
-202 | -0.30 |
公立中高一貫校は県内3校で志願者増。来年以降は南附属の動向にも注目
県内公立中高一貫校5校を見ていきましょう。横浜市立2校以外すべてで志願者を増やしました。実質倍率が最も高かったのが相模原中等女子で8.18倍でした。優れた教育実践と県内公立校屈指の大学合格実績により、相模原中等も平塚中等も安定した人気となっています。また、1人1台タブレットPCを持ち、授業や自主学習に活用している川崎高附属中。「体験・探究」「ICT活用」「英語・国際理解」の3つの柱に基づく先進の学習と県内屈指の学校環境、1学年120名のアットホームな指導が特徴です。1期生の大学進学実績が出るまであと2年ありますが、安定した人気となっています。
一方、横浜市立2校は昨年から志願者が減りました。横浜サイエンスフロンティア高校附属中は、他校の開校初期と同様の動きです。南高校附属中は2012年の開校以来最も落ち着いた入試となりました。欠席・取消者数も男女ともに最も少なかったことから、南高校附属中を第一志望にする生徒が十分に準備をして臨む受験となっていることがうかがえます。南高校附属中1期生が今春大学受験に臨み、東大5名合格をはじめ国公立大・難関私大に多数合格しました。保護者の関心が再び高まり、志願者数にも変化が出るものと思われます。
公立高校(全日制)入試、今年は1.19倍
【3】神奈川県公立高校入試受験状況(全日制)
年度 | 募集 | 受験 | 受験後取消 | 合格 | 実質倍率 | 定員割れ校数 | 欠員 | 倍率1.5倍以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018 | 43,043 | 51,369 | 379 | 42,763 | 1.19 | 18 | 338 | 9 |
2017 | 43,593 | 52,321 | 292 | 43,476 | 1.2 | 18 | 180 | 9 |
2016 | 43,750 | 52,368 | 310 | 43,609 | 1.2 | 13 | 245 | 12 |
2015 | 43,300 | 51,471 | 314 | 43,291 | 1.18 | 15 | 105 | 15 |
2014 | 43,760 | 51,932 | 391 | 43,849 | 1.18 | 7 | 35 | 11 |
2013 | 42,560 | 49,971 | 341 | 42,513 | 1.17 | 23 | 180 | 15 |
それでは高校入試に目を移しましょう。私立無償化の影響で定員割れが発生、3次募集まで行った都立高校。対して神奈川県公立高校全日制の実質倍率は1.19倍、定員割れは昨年と同様18校でした。欠員数がグンと増えたのは一部高校での大幅な欠員によるものです。【3】は新制度からの受験状況、【4】は今春の高倍率上位20校・学科コースです。そのうち「川崎・横浜北東地域」にあるのが12校・学科コースに上ります。各校の魅力もさることながら、人口増という地域的背景も影響していると言えます。また大学進学に力を入れる県立学力向上進学重点校先行指定の横浜翠嵐とエントリー校5校も入っています。エントリー校からの指定は県教育委員会によると5月頃に行われるそうです。受験生の関心も高い進学重点校の指定は、今後の志願動向にも影響を与えると思われます。
なお、合格者平均点については次号以降詳しく見ていきます。
【4】■2018年度公立高校入試高倍率校
※1 | ※2 | 高校 | 学科コース | 合格者数 | 実質倍率 | 前年度倍率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ● | ☆ | 横浜翠嵐 | 普通 | 359 | 1.83 | 1.61 |
2 | ● | 川崎市立橘 | 国際 | 39 | 1.82 | 1.87 | |
3 | 上矢部 | 美術 | 39 | 1.79 | 1.33 | ||
4 | 横浜市立横浜商業 | スポーツマネジメント | 39 | 1.74 | 1.26 | ||
5 | ● | ☆ | 多摩 | 普通 | 278 | 1.69 | 1.54 |
6 | ☆ | 横浜緑ヶ丘 | 普通 | 280 | 1.6 | 1.58 | |
7 | ● | 川崎市立川崎総合科学 | 情報工学 | 40 | 1.58 | 1.03 | |
8 | ● | 川崎市立川崎総合科学 | 建設工学 | 40 | 1.53 | 1.08 | |
9 | ● | 横浜市立横浜サイエンスフロンティア | 理数 | 238 | 1.52 | 1.44 | |
10 | ● | 神奈川総合 | 国際文化 | 90 | 1.49 | 1.24 | |
10 | ● | 新城 | 普通 | 268 | 1.49 | 1.71 | |
12 | 横浜国際 | 国際 | 138 | 1.48 | 1.38 | ||
13 | ● | ☆ | 川和 | 普通 | 319 | 1.46 | 1.53 |
14 | 相原 | 畜産科学 | 40 | 1.45 | 1.08 | ||
14 | ● | 川崎市立高津 | 普通 | 278 | 1.45 | 1.17 | |
16 | ☆ | 大和 | 普通 | 279 | 1.44 | 1.47 | |
16 | 横浜市立戸塚 | 普通 | 279 | 1.44 | 1.35 | ||
16 | ☆ | 光陵 | 普通 | 287 | 1.44 | 1.33 | |
19 | ● | 神奈川総合 | 個性化 | 159 | 1.42 | 1.21 | |
20 | ● | 川崎市立橘 | スポーツ | 39 | 1.41 | 1.67 |
※1 「川崎・横浜北東地域」に立地する高校
※2 県立学力向上進学重点校エントリー校(横浜翠嵐は先行指定)