CG’s EYE
学校基本調査結果速報トピックス
No.037 2018年08月31日
今回は8月に公表された平成30年度学校基本調査結果速報から、トピックスをお届けします。
神奈川県は今年も大学等進学率全国第3位
【1】大学等進学率ランキング2018年3月卒業生
順位 | 都道府県 | 進学率 |
---|---|---|
1位 | 京都府 | 65.9% |
2位 | 東京都 | 64.7% |
3位 | 神奈川県 | 61.0% |
4位 | 広島県 | 60.6% |
5位 | 兵庫県 | 60.6% |
全国平均 | 54.7% |
今春、県内高校を卒業したのは6万6千244名、そのうち4万395名が大学等に進学しました。進学率は61.0%、東京都京都府に次ぐ全国第3位の進学率です(【1】)。
県内高校生の大学等進学率の推移をまとめたのが【2】です。進学率は20年前に40%を超え、10年前に60%を超えました。一方、入学志願率は20年前からすでに60%を超えていました。志願率と実際の進学率の差がいわゆる浪人生の規模です。20年前は約1万7千名だったのが、2015年には4千456名と最小になります。そして2016年から少しずつ増え、今年が5千224名でした。
2016年から若干ですが上昇傾向にある要因として考えられるのが、私立大学の入学定員厳格化の影響です。地方大学との格差是正を目的に、入学定員を超える入学者を受け入れぬよう首都圏の私立大学に罰則規定が設けられました。いわゆる「定員の厳格化」が2016年から始まり、合格者数が絞り込まれるようになったのです。年々絞り込みは強化され今年は定員の1.1倍以内でした。大学側は合格者数の絞り込みを行い、追加合格を出すことで調整を図るのが一般的です。そのため追加合格連絡を3月末に受けた受験生もいたようです。今年は昨年より3千名以上も合格者数を絞った大学もありました。来年は定員の1倍とさらに厳しくなり、受験生には厳しい戦いとなりそうです。
7万4千名が中学進学
県内中学1年生は7万3千985名。内訳をまとめたのが【3】です。学校種としては、中学校以外に中等教育学校4校と義務教育学校2校があります。中等教育学校は1999年の法改正で設置が可能になった新しいタイプの学校です。公立校では2009年開校の県立相模原中等と県立平塚中等があり、質の高い教育と県内公立トップクラスの進学実績が評価され、高い人気となっています。私立校では男子校桐蔭学園中等教育、共学校自修館中等教育があります。桐蔭学園は現在の男子部、女子部を2019年度からすべて中等教育学校に改編します。反対に昨年度まで中等教育だった横浜富士見丘学園は今年度から中学・高校募集へと変わり、来年度共学化されます。
義務教育学校も新しいタイプの学校です。2016年に横浜市立霧が丘小中学校が「横浜市立義務教育学校霧が丘学園」に、2017年に横浜市立西金沢小中学校が「横浜市立義務教育学校西金沢学園」になりました。2校とも2010年から「小中学校」の名称のもと小中一貫教育に取り組んできました。2016年の法改正で「1人の校長のもと一つの組織として9年間一貫した教育を行う」ことのできる義務教育学校の設置が可能となり、霧が丘学園は全国初の義務教育学校となりました。ちなみに中学1年生に相当する学年は「7年生」、中学3年生に相当する学年は「9年生」となります。
90万名が学ぶ
小学校・中学校・高校等で学ぶ県内児童・生徒数は約90万名です。児童・生徒数の推移をまとめたのが【4】です。30年前は約131万名でしたから、3割以上減っています。ただ、急激な生徒減少は20年前までで、以降は緩やかに推移していることがグラフから分かります。
【5】は児童・生徒一人当たりの本務教員数を全国と比べたものです。神奈川県は先生一人当たりの生徒数が多い県であることが分かります。
最近は先生方の「働き方改革」が話題に上がることが多くなってきました。90万の児童・生徒のため、先生方が力を発揮できる環境整備が推進されることを願って本稿の結びとします。
【5】先生一人当たりの児童・生徒数
国立 | 公立 | 私立 | ||||
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全国 | 神奈川県 | 全国 | 神奈川県 | 全国 | 神奈川県 | |
小学校 | 21.1 | 24.3 | 15.3 | 18.1 | 15.1 | 15.0 |
中学校 | 18.5 | 20.8 | 13.0 | 15.4 | 15.6 | 16.6 |
高等学校 | 14.9 | - | 12.9 | 14.7 | 16.7 | 19.2 |
中等教育学校 | 14.8 | - | 12.9 | 15.6 | 10.1 | 13.8 |