furel
2014年4月公開号
vol.26 furel'scope:神奈川県立高校の歩み
神奈川県立高校の歩み
神奈川県の高校等進学者は戦後上昇を続け、1989(平成元)年に12万2382人とピークを迎えます。増える高校進学希望者に対応すべく、県立高校100校計画が1973年から1988年まで実施され、新校が相次いで開校しました。その後、高校等進学者は減少期に入ります。166校まで増えた県立高校は逆に過剰となり、10年間におよぶ「県立高校改革推進計画」を2000(平成12)年から開始します。高校の統廃合・再編により、新たなタイプの高校を含め141校となりました。計画実施前は全日制高校の74%が普通科高校でしたが、終了後には64%まで減少し、代わりに「総合技術」「総合ビジネス」「海洋科学」など新しいタイプの高校が誕生しました。県立中等教育2校の誕生も、その推進計画によるものです。また各校の特色化の一つとして、2007(平成19)年には学力向上進学重点校10校が指定されます。現在は県立18校がその指定を受けています。
神奈川県公立高校入試の歩み
長らく「神奈川方式」と呼ばれる、全国でも珍しい選抜方法を採っていた神奈川県。それは中学2年生3学期にいっせいに行われる9教科のアチーブメントテスト(ア・テスト)の結果(10段階の評点)を入試選抜資料に入れるというものでした。早期の受験態勢を強いると批判された一方、学校間格差のある内申点の緩衝材になる、あるいは中学生の学力水準を高めるといった意見もありました。そして1997(平成9)年に「複数志願制」が導入され、選抜資料からア・テストが外されることになりました。
「複数志願制」は、試験は1回ですが、第一志望・第二志望に分けて志願できるもので、各校はまず第一志望の生徒のみを選考し、不合格者を第二志望枠で選考するものでした。是が非でも公立高校に進学したい、という受験生は第二志望校のランクを下げて志願するという利用も見られました。しかし年を追うごとに同一志願率が増え、8年でその役割を終えます。この複数志願制は、高校側の採点のばらつきを回避するため、記述問題が抜き出し式、あるいは字数の少ないものへと、入試問題のレベルにも影響を与えました。
次に登場したのが前期・後期選抜。「選抜の多様化」という流れを受けてのもので、前期選抜は学力検査なしのいわゆる推薦です。校長推薦ではなく自己推薦、だれでも志願することができるものでした。しかし実際はほぼ学校成績、つまり内申点が合否を決めていたこと、また後期選抜の合格内申点より高い内申点が必要だったことから、前期選抜に志願せず後期選抜一本に絞る受験生も見られました。「学力向上進学重点校」が指定されたこの前・後期選抜の定員は2対8から5対5の比率で各校が決められました。学力重視の高校では前期定員を絞るなども見られましたが、県内全公立高校入学者の半数近くは、学力検査を経ずに入学する生徒で占められるようになりました。
大学生の学力低下問題、ゆとり教育への反省を受け、2013(平成25)年から全員が学力検査と面接を受ける、全国でも珍しい入試選抜方法へと変わり、入試問題も「思考力・判断力・表現力」を今まで以上に問うものとなりました。