神奈川県教育委員会は11月25日(金)、「令和4年度 公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況」を発表しました。これは、県内の公立中学校および義務教育学校の2023(令和5)年3月卒業予定者に対して、10月20日を期日として行った進路希望調査の結果となります。
2023(令和5)年3月の卒業予定者総数は昨年よりも903人多い67,984人です。これに対して県内全日制公立高等学校(以下高校と表記)への進学希望者は昨年よりも35人少ない51,899人、率にすると76.3%で前年度から1.1ポイント下がっています。県内全日制公立高校への進学希望率は10月20日調査になった1994年以降毎年80%台で推移してきましたが、2018年にはじめて80%を下回り、以降70%台が続いています。一方、県内・県外を含む全日制私立高校進学希望者は昨年よりも544人多い8,685人、卒業予定者総数に占める割合は12.8%でこちらは前年度から0.7ポイントの上昇です。私立を進学先の第一志望とする生徒が増加傾向にある背景には、私立高校進学者に対する国や県からの授業料等の助成が拡充されていることが挙げられます。また、大学入学共通テストや大学入学定員の厳格化への不安から大学付属校を中心に入学希望者が増えるなど、私学人気が高まっていることもあるでしょう。
全日制公立高校進学を希望する生徒の割合は下がっていますが、地区や高校単位の希望状況は県内一律ではありません。今回の進路希望状況調査で、中学校が所在する地区とは異なる地区に所在する高校を希望した生徒の割合は48%でおよそ2人に1人が地元外にある高校への進学を検討しています。複数路線の乗り入れがある交通の便の良い地区ほどその傾向は顕著です。進路希望状況調査結果資料の統計表第10表「県内公立高等学校(全日制の課程)普通科進学希望者の市区町村別進学希望状況」をもとに作成したのが以下の図です。中学校が所在する市区町村の生徒数を100とし、それよりも多く生徒が集まっている地区を暖色、反対に生徒が集まっていない地区を寒色で示しています。
地区別の進学希望状況
2022年12月 神奈川県発表資料をもとに中萬学院作成 ※希望校を決めていない者を除く
上記の図に今回の調査で希望者が400人を超えている高校53校の所在を加えたものが以下の図です。昨年の44校から今年は9校増えています。進学希望者が900人を超えているのは横浜翠嵐高校(945人)と湘南高校(921人)の2校です。横浜翠嵐高校は3年連続で進学希望者数がもっとも多くなっています。
全日制公立高校 進学希望者400人超の高校
2022年12月 神奈川県教育委員会発表資料をもとに中萬学院作成 ※希望校を決めていない者を除く
希望者数上位20校の顔ぶれはほぼ例年どおりです。学力向上進学重点校および同エントリー校からは計18校のうち7校が含まれています。
2022年10月の進路希望調査で希望者の多い上位20校
※志願者数は志願変更前の数値です
※希望者数との対比は昨年度入試の志願者数÷2021年の希望者数×100で計算
※★…学力向上進学重点校 ◇…学力向上進学重点校エントリー校
順位 | 高校名 | 希望者数 | 昨年度の入試 | |||
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2022 希望者数 |
2021 希望者数 |
増減数 | 志願者数 | 希望者数 対比 |
||
1 | 横浜翠嵐★ | 945人 | 1,062人 | ▲117人 | 912人 | 86% |
2 | 湘南★ | 921人 | 784人 | 137人 | 605人 | 77% |
3 | 海老名 | 729人 | 779人 | ▲50人 | 516人 | 66% |
4 | 住吉 | 691人 | 764人 | ▲73人 | 541人 | 71% |
5 | 鎌倉◇ | 688人 | 726人 | ▲38人 | 543人 | 75% |
6 | 岸根 | 678人 | 586人 | 92人 | 474人 | 81% |
7 | 横浜緑ケ丘◇ | 674人 | 768人 | ▲94人 | 539人 | 70% |
8 | 希望ケ丘◇ | 666人 | 579人 | 87人 | 551人 | 95% |
9 | 市ケ尾 | 665人 | 727人 | ▲62人 | 605人 | 83% |
10 | 市立金沢 | 664人 | 699人 | ▲35人 | 480人 | 69% |
11 | 多摩◇ | 635人 | 681人 | ▲46人 | 550人 | 81% |
12 | 市立戸塚 | 632人 | 747人 | ▲115人 | 387人 | 52% |
13 | 七里ガ浜 | 619人 | 690人 | ▲71人 | 574人 | 83% |
14 | 元石川 | 614人 | 558人 | ▲56人 | 496人 | 89% |
15 | 新城 | 602人 | 659人 | ▲57人 | 440人 | 67% |
16 | 麻溝台 | 528人 | 457人 | 71人 | 450人 | 98% |
17 | 神奈川総合 | 522人 | 438人 | 84人 | 258人 | 59% |
18 | 鶴嶺 | 522人 | 451人 | 71人 | 388人 | 86% |
19 | 川和★ | 516人 | 550人 | ▲34人 | 441人 | 80% |
20 | 市立橘 | 511人 | 357人 | 154人 | 254人 | 71% |
今回発表された数字は、あくまで10月20日時点の希望状況であり、入学志願状況ではありません。上記20校を見てもわかるように、実際の志願者数は平均すると希望者数の75%程度まで減少します。志望校を決定するにあたり、現時点で自分が行きたいと思う高校の希望者が多いからといって悲観的になったり敬遠したりする必要はなく、また希望者が少ないからといって安心できるというものでもありません。大切なのは目標とする高校の合格を目指し、学力検査や特色検査の得点アップに全力で取り組むことです。これから入試本番までの約2カ月はもっとも得点力が伸びる時期です。合格に向けて悔いのないよう最後まで力を尽くしましょう。
神奈川県教育委員会発表の進路希望の状況調査結果は神奈川県の教育統計ページでご覧いただけます。
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