神奈川県教育委員会は11月28日(木)、「令和6年度 公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況」を公表しました。これは、県内の公立中学校405校(分校3校含む)および義務教育学校後期課程5校を2025(令和7)年3月に卒業する予定の者に対して、10月20日を期日として行った進路希望調査の結果です。
2025(令和7)年3月の卒業予定者数は前年度よりも679人少ない66,340人です。このうち県内全日制公立高等学校(以下高校と表記)希望者は前年度より1,263人少ない49,756人で、卒業予定者数に占める割合は75.0%となりました。この割合は7年連続で80%を下回っており、今年の75.0%は過去20年間でもっとも低い数値です。
一方、県内・県外を含む全日制私立高校進学希望者は昨年よりも295人少ない8,667人で、卒業予定者に占める割合は13.1%となりました。この値は過去20年間でもっとも高い数値です。この数年間、私立高校を第一志望とする生徒が増加傾向にありますが、この背景には私立高校進学者に対する授業料等の助成拡充や新しい入試制度のもとで臨む大学入試への不安などがあると思われます。
公立高校進学希望者が減ることで、卒業予定者数に占める全日制公立高校の募集定員の割合も下がっています。今年は59.4%でこちらも過去20年間でもっとも低くなっています。しかし、県内すべての全日制公立高校で一律に進学希望者が減っているわけではなく、地区や高校単位の希望状況には大きな差があります。進路希望状況調査結果資料の統計表第10表「県内公立高等学校(全日制の課程)普通科進学希望者の市区町村別進学希望状況」をもとに作成したのが以下の図表です。中学校が所在する市区町村の生徒数を100とし、それよりも多く生徒が集まっている地区を暖色、反対に生徒が集まっていない地区を寒色で示しています。今回の進路希望状況調査で、中学校が所在する地区とは異なる地区に所在する高校を希望した生徒の割合は50.6%でおよそ2人に1人が地元外にある高校への進学を検討しています。複数路線の乗り入れがある交通の便の良い地区ほどその傾向は顕著です。
地区別の進学希望状況
2024年11月 神奈川県発表資料をもとに中萬学院作成 ※希望校を決めていない者を除く
上記の図表に今回の調査で希望者が400人を超えている高校41校の所在を加えたものが以下の図表です。これらの高校の顔ぶれは前年度とほぼ同じです。進学希望者が900人を超えているのは横浜翠嵐高校(908人/募集定員359人)と湘南高校(901人/募集定員359人)の2校です。横浜翠嵐高校は5年連続で進学希望者数がもっとも多くなっています。
全日制公立高校 進学希望者400人超の高校
2024年11月 神奈川県教育委員会発表資料をもとに中萬学院作成 ※希望校を決めていない者を除く
進学希望者数が多い上位20校は以下の通りです。学力向上進学重点校および同エントリー校からは8校が入っています。
2024年10月の進路希望調査で希望者の多い上位20校
※志願者数は志願変更前の数値です。増減数の▲は減少をあらわします。
※希望者数との対比は昨年度の入試の志願者数÷2023年の希望者数×100で計算
※★…学力向上進学重点校 ◇…学力向上進学重点校エントリー校
順位 | 高校名 | 希望者数 | 昨年度の入試 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
2024 希望者数 |
2023 希望者数 |
増減数 | 志願者数 | 希望者数 対比 |
||
1 | 横浜翠嵐★ | 908人 | 939人 | ▲31人 | 826人 | 88% |
2 | 湘南★ | 901人 | 880人 | 21人 | 656人 | 75% |
3 | 海老名 | 727人 | 751人 | ▲24人 | 502人 | 67% |
4 | 藤沢西 | 694人 | 583人 | 111人 | 440人 | 75% |
5 | 多摩★ | 654人 | 640人 | 14人 | 470人 | 73% |
6 | 岸根 | 649人 | 596人 | 53人 | 439人 | 74% |
7 | 新城 | 648人 | 606人 | 42人 | 407人 | 67% |
8 | 市立金沢 | 646人 | 607人 | 39人 | 418人 | 69% |
9 | 七里ガ浜 | 642人 | 723人 | ▲81人 | 536人 | 74% |
10 | 市ケ尾 | 629人 | 585人 | 44人 | 472人 | 81% |
10 | 鎌倉◇ | 629人 | 716人 | ▲87人 | 532人 | 74% |
12 | 横浜緑ケ丘★ | 605人 | 726人 | ▲121人 | 489人 | 67% |
13 | 希望ケ丘◇ | 578人 | 573人 | 5人 | 460人 | 80% |
14 | 市立横須賀総合 | 571人 | 546人 | 25人 | 431人 | 79% |
15 | 住吉 | 569人 | 622人 | ▲53人 | 477人 | 77% |
16 | 元石川 | 541人 | 554人 | ▲13人 | 507人 | 92% |
17 | 川和★ | 526人 | 441人 | 85人 | 407人 | 92% |
18 | 市立みなと総合 | 524人 | 630人 | ▲106人 | 367人 | 58% |
19 | 柏陽★ | 518人 | 470人 | 48人 | 445人 | 95% |
20 | 荏田 | 515人 | 465人 | 50人 | 463人 | 100% |
20 | 市立橘(普通) | 515人 | 472人 | 43人 | 242人 | 51% |
今回公表された数字は、あくまで10月20日時点の希望状況です。上記20校を見てもわかるように、実際の志願者数は平均すると希望者数の76%程度まで減少しています。公立高校の志願先の最終決定は2月4日~2月6日の志願変更まで可能です。現時点で自分が行きたい高校の希望者が多いからといって悲観的になったり敬遠したりする必要はなく、また希望者が少ないからといって安心できるというものでもありません。大切なのは自分が目標とする高校の合格を目指して学力検査や特色検査の得点アップに全力で取り組むことです。これから入試本番までの約3カ月はもっとも得点力が伸びる時期でもあります。志望校合格に向けて最後まで力を尽くしましょう。
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