80.7%が県内全日制公立高校への進学を希望、実際に進学できるのは62.7%
神奈川県教育委員会は11月22日(火)、「平成28年度 公立中学校等卒業予定者の進路希望の状況」を発表しました。
2017年3月の公立中学校卒業予定者総数は69,965名、このうち全日制高等学校(以下「高校」と表記)等進学希望者は63,892名です。卒業予定者数に占める割合は91.3%で、前年度より0.9ポイント減少しました。
神奈川県は近年全日制高校への進学率向上を図っており、それは募集定員設定にもあらわれています。2017年度の卒業予定者数は前年度より404名減少していますが、全日制公立高校の当初募集定員総数(特別募集等を除く)は100名減に留まっています。しかし今回の調査結果では、高校等進学希望者のうち県内全日制公立高校への進学希望者数の割合は80.7%で、前年度から0.6ポイント減少しました。
卒業予定者数に対する当初募集定員総数(特別募集等を除く)の割合は62.7%で、前年度から0.2ポイントの上昇です。今回の調査結果通りに全日制公立高校への志願が行われた場合、志願競争率が前年度よりも下がるため、わずかにですが間口が広がったといえます。それでは、地区・学校の希望状況を見ていきましょう。
全県の地元地区外進学希望率(※1)は上昇、ただし地区によって大きな差
全県の地元地区外進学希望率(※1)は46.7%と前年度の45.5%から1.2ポイント上昇しました。ただし、例年通り各地区毎で希望状況に大きな差が出ています。
(※1)各地区の進学希望者数から「中学校が所在する市町村と同一の地域への進学希望者数」を除き、地区の進学希望者数で割った率
地元残留率(※2)が最も低いのは「横浜南部」
以下の【表1】は市区町村を17の地区(※相模原北部津久井・相模原南部は相模原市で1区とする)でまとめ、各地区の生徒の動きを矢印で示したものです。
地元残留率(※2)が最も低いのは横浜南部です。地元地区内の高校を希望する生徒は33.4%にとどまり、約7割の生徒が地元地区外への進学を希望しています。地元残留率が50%以下と低い地区は7つあり、秦野伊勢原(49.4%)・平塚(44.5%)・横浜臨海(42.6%)・横浜西部(41.3%)・横浜中部(40.9%)・大和座間綾瀬(37.7%)・横浜南部(33.4%)です。
(※2)各地区の「中学校が所在する市町村と同一の地域への進学希望者数」を、地区の進学希望者数で割った率
【表1】
進学希望者の割合(※3)が最も高いのは「厚木海老名愛甲」
以下の【表2】では【表1】の地区別希望情況の生徒数移動を反映し、中学校が所在する地元地区の生徒数を100として塗り分けで希望状況を示しています。
地元生徒数に対する進学希望者の割合(※3)が最も高い地区は、厚木海老名愛甲(135.6%)です。地元生徒の61.8%が進学を希望するほか、隣接する大和座間綾瀬から544名、相模原からも454名の進学希望者がいるなど人気を集めています。
一方で、最も進学希望者の割合(※3)が低いのは横浜西部(77.6%)で、地元生徒の希望率も38.4%と低くなっています。【表1】の矢印数を見ても分かるとおり、複数の路線が乗り入れている交通の利便性が高い地域では生徒の進学希望地区が多岐に渡りやすく、多様化する傾向が見られます。
(※3)各地区の進学希望者数を中学校所在地の生徒数で割った(中学校が所在する地元地区の生徒数を100とした)率
【表2】
希望者400名超の高校は51校、最多は海老名の1002名
以下の【表3】では、今回の調査で希望者が400名を超えた高校を示しています。
2017年度募集を行う全日制公立高校のなかで、400名以上の希望者を集めた高校は51校(前年度56校)あり、最多は海老名の1002名でした。700名台は3校(横浜翠嵐・市ヶ尾・市立金沢)、600名台は8校(湘南・市立戸塚・鎌倉・川和・藤沢西・市立桜丘・多摩・住吉)、500名台は15校(岸根・新城・柏陽・横浜緑ヶ丘・元石川・上溝・港北・茅ヶ崎・市立東・大和・厚木・希望ヶ丘・七里ガ浜・座間・大船)です。
なお、県立高校改革により再編統合が予定されている氷取沢は319名(前年度385名)、磯子は269名(前年度319名)と前年度よりも減少しています。
【表3】
県内全日制公立高校進学希望者のうち、進学重点校希望者は22.5%
県内の全日制公立高校進学希望者56,487名のうち、県立「学力向上進学重点校エントリー校」17校への進学希望者は19.5%の8,915名、市立進学指導重点校4校への進学希望者は3%の1,718名です。
県内全日制高校全体の希望倍率1.29に対し、県立「学力向上進学重点校エントリー校」17校は1.69、市立進学指導重点校は1.88と例年通り高い人気を集めています。
情報に惑わされず、志望校に向かってしっかりと学習を
最後に、この「進路希望調査結果」を見る上でご注意いただきたいのは、(1)「調査が10月20日時点の希望である」こと(2)「調査時点で2017年度公立高校募集定員はまだ発表されていない」という点です。
この調査結果はこれから中学校で行われる進路面談の資料としても利用され、毎年そのアナウンス効果もあり2月の最終的な志望校決定まで受験生の希望状況は変化します。上の表でもほとんどの学校で希望倍率と実質倍率に開きが生じています。
したがって、行きたい高校の人気が高いからと悲観的になったり敬遠をしたりする必要はなく、また人気が低いからといって安心できるわけでもありません。大切なのは、自分の目標とする高校の合格を目指し、最後まで得点力アップに向けて全力で取り組むことです。
いよいよ入試に向けて正念場を迎え、中萬学院グループでも本格的に入試実戦対策が行われます。本番まであと2カ月余り、志望校合格に向けて一緒に頑張りましょう。