2017年度 全日制公立高校入試概況
全体倍率は昨年度と同じく1.20倍
新入試制度開始から5回目の入試が終了しました。はじめに2017年度入試の全体概況を振り返ります。
募集定員総数43,530名(昨年比220名減)に対し、受検者数は52,290名(同348名減)、合格者数は43,445名(同164名減)、全体倍率は2016年度と同じく1.20倍になりました(※)。
受検状況の詳細は以下の通りです。
※…一般募集・インクルーシブ教育を除く連携募集を含みます。神奈川県教育委員会の発表では一般募集・インクルーシブ教育を含め、募集定員総数を43,593名、受検者数を52,321名、合格者数を43,476名と発表しています。当記事では過年度比較のため、一般募集・インクルーシブ教育を除いた数字を記載しています。
2016年度では志願状況発表の2日後から志願変更が始まりましたが、2017年度は土・日を挟み4日後から始まりました。検討期間が長くなった分、志願変更者数も増加すると見られていましたが、実際は2016年度より79名減少の3,259名でした。受検生の皆さんがより主体的に行きたい高校を選択し、果敢に挑んだ結果であるともいえるでしょう。
例年に続き人気を集めた「進学重点校」
「市立進学指導重点校」4校の平均倍率は2016年度と同じく1.45倍、2016年1月に県立高校改革実施計画で発表された「学力向上進学重点校エントリー校」17校の平均倍率は1.32倍でした。
「学力向上進学重点校エントリー校」は昨年度の1.39倍からは減少しましたが、全体倍率の1.20倍と比較すると依然として高い状況です。特に1.61倍という高倍率を出した横浜翠嵐高校は、今春の大学入試において東京大学に35名の合格者を輩出し、そのうち21名は現役で合格しています。大学合格実績を踏まえ、今後ますます人気を集めると思われます。
この「学力向上進学重点校エントリー校」17校の中から新たな「学力向上進学重点校」が2018年度に指定される予定です。どの学校が指定されるのか、そして今後の志願状況の動向も注目点です。
各学校の詳細は以下の通りです。
採点ミス防止策の影響、特に国語で顕著に
2017年度入試の大きなトピックは、2016年度入試で発覚した採点ミス問題を受け、再発防止策として選択式回答にマークシート形式を導入し受検者全員へ答案の写しが返却された点です。
その結果記述式の出題・配点が減り、より問題に取り組みやすくなったことで、2017年度の合格者平均点は全科目で2016年度を上回りました。各教科の点数は、数学が63.5点(昨年差11.8点)、英語が51.9点(同8.9点)、国語が73.1点(同8.4点)、社会が54.5点(同2.5点)、理科が46.9点(同0.4点)です。
一方で、旧制度実施最終年度である2012年度と比較すると、国語以外の科目は今年度の合格者平均点の方が下回っています。たとえば、社会では今年度も「知識の活用力」が求められ、合格者平均点は2012年度よりも10点弱低く、前年度と同様に得点分布も分散しています。マークシート形式に変わってもなお、これまでと同じく「思考力・判断力・表現力」を重視する内容であったといえるでしょう。
ただし、国語では影響が顕著に現れています。全体の8割が記号選択問題になり、平均点は2012年度より高い73.1点、100名に3名近くが満点という結果でした。漢字の書き取りと心情記述が選択式になったほか、文章量も1千字程度減り、記述問題も解き易いものでした。採点基準の揺れをより減らそうと、慎重に問題作成が行われたようです。その意味では「思考力・判断力・表現力」を培い続けた受検生にとって、今年度の国語は努力が報われにくいものだったかもしれません。
各教科の得点分布・出題形式割合の詳細は以下の通りです。
重視される力は、やはり「思考力・判断力・表現力」
マークシート方式導入初年度ということもあり平均点こそ上昇しましたが、今年度の反動で2018年度以降は難化する可能性もあり、何より「思考力・判断力・表現力」重視の入試であることに変わりはありません。ぜひ受検生の皆さんはそのことを忘れずに日々の勉強に取り組んでください。 高校受験情報では引き続き最新の情報をお届けし、これからも皆さんを応援していきます。